金相場が歴史的な高値となり、手元にあるジュエリーを「売ってしまおうかな」と思う方が増えています。
その気持ちは、とてもよくわかります。でも──換金したあと、本当に手元に残るものは何でしょうか。
✨売れば高い。でも、心は安くならない。母から娘へ──ジュエリーが受け継ぐもの✨
最近、「断捨離をしたら昔のジュエリーが出てきて、何かに作り直せますか?」というご相談をよくいただきます。
お母さまから娘さんへ、娘さんからお孫さんへ。

笑顔で手渡す時間には、お金では測れないぬくもりがあります。
けれど同時に、現実的な“誘惑”も存在します。
■ 換金したくなるほど、今は金相場が高い
まず正直に言います。
今、金(ゴールド)やプラチナの地金を売るのはとても有利です。
昭和30〜40年代の指輪は地金が細く、2g前後のものが多い時代でした。

ところが1980年代のバブル期は“金が安かった”ため、10g前後のしっかりした指輪が一般的に作られていました。
そして、この違いが現在、とても大きな意味を持っています。
たとえば1985年。
K18は 1g=約1,300円。その金が今では 1g=約23,000円ほど。
なんと約17倍です!
だからこそ、60代の女性がお母さまのジュエリーを受け継ぐと、
「これ、売ったらかなりの金額になるのでは?」という気持ちが湧くのも当然です。
誘惑は、強い。
その現実、私も迷います。
■ でも、換金すると “なにが残るのか”
金額だけで見れば、換金は理にかなっています。ランチをして、旅行の足しにして気持ちよく使ってしまうのも自由です。
ただ、ひとつだけ考えてほしい瞬間があります。
換金したその指輪──
あなたの人生の物語は、どこへ行くのでしょうか。
家族といっしょに過ごした時間、母と交わした会話、若い頃の自分の思い出。

それらは換金した瞬間に、形を失います。
消費はあっという間に終わってしまいます。
お金は大切です。
でも、心の奥のなにかが “安くなる” ・・・手の中から何かが消えて行く感覚を覚える方が少なくありません。
■ お金の価値を“物語の価値”へ変換する方法
だからこそ、もう一つの選択肢があります。
それが ジュエリーのリフォーム(リモデル) です。加工賃と新しいデザインにかかる費用は必要です。
しかし、買い取り価格(例:1万円〜数万円)が差し引かれるので、無駄になるわけではありません。
そして何より、新しい姿になったジュエリーを手にしたときに生まれる言葉。
「ああ、こんなふうに生まれ変わるんだね」
この一言が、お金には換えられない価値を生みます。
もしかしたら、その石のカットは今ではできない貴重なものかもしれませんし、昔のものは良いものが多いのです。
天然石ネックレスのように地金代が不要な場合は、組み換えたりパーツを足したり、もっと手軽に生まれ変わらせることもできます。
■ “受け継ぐ”とは、価値を未来へ手渡すこと
家に眠っているジュエリーには、必ず物語があります。
・若い頃に選んだリング
・海外旅行の記念
・母から譲られたネックレス
・もう似合わなくなったけれど、捨てられない石
・昔の珊瑚や琥珀
どれも「ただの古いアクセサリー」ではありません。換金すれば一瞬で数字に変わります。
でも、作り直せば
“家族にしか持てない唯一の宝物” に変わります。
その違いは、心に残るぬくもりの差です。
私はこれまで多くの親子さんのリフォームに立ち会ってきました。受け継がれるジュエリーの物語を聞くたびに、
胸の奥がほのかに熱くなります。
■ お金より大切なものがある
もちろん、換金を否定するつもりはありません。生活の節目で必要な時もあるでしょう。
ただ、もし迷っているなら、ひとつだけ思い出してほしいのです。
お金は使えば消える。物語は手渡せば残る。
あなたの家に眠っているジュエリーは、ただの金属でも石でもありません。
“あなたの時間”が宿った、小さな宝物です。
気になるものがあれば、どうぞ気軽にご相談ください。
どの選択肢が、心にとって一番優しいのか。いっしょに考えていきましょう。
✨大切なのは、どの選択があなたの心にとっていちばん優しいかということです。
換金が正しい場面もありますし、受け継ぐことが救いになる時もあります。
もし「これ、どうしたらいいのかな」と迷うジュエリーがあれば、どうぞ気軽にご相談ください。
あなたと一緒に、その物語の続きを探していきます。✨


