新作ジュエリー。オンラインにてご購入いただけます。

受け継いだアメジスト──憧れのかたちに近づけて 

 

「この石、ずっとしまったままだったんです。

でも、あまりにも綺麗で……なんとか使えないかと、ずっと思っていました。」

お客様がそう話してくださったのは、おかあさまから受け継がれた、紫色のアメジストの指輪。

もとは亡くなられた伯母さまのもので、思い出が込められた大切な宝石です。

ですがクラシックなデザインのため、なかなか身につける機会がなく、長い間しまわれたままだったとのこと。

リメイクのご相談をいただいたとき、お客様の中には明確なイメージがありました。

「石がふわっと乗っているような、軽やかでモダンなデザイン」──

いわゆる“ヌーディ”な印象の、ミニマルで抜け感のあるスタイルです。

けれど、今回お預かりしたアメジストは、厚みも高さもあり、クラシカルなカット。

イメージされていたスタイルは、もともとそのためにカットされた石で成り立つデザインであり、

石留めの方法もまったく異なる構造のため、見た目を似せることが物理的に難しいという前提がありました。

この「できない理由」が、気持ちの問題ではなく“石の形”にあることをしっかりご理解いただくまでが、

今回のリメイクにおいて最初の大きな壁だったように思います。

加えて、イメージに近づけるには地金の量も必要で、ご予算とのバランスも大きなテーマとなりました。

特に「丸線のリングアームにしたい」というご希望に対しては、強度とコスト、デザイン性の兼ね合いを慎重に調整しながら、製作担当者とも何度もやりとりを重ねました。

「できること」と「できないこと」を明確にしながら、

その中で「どうすれば最大限ご希望に近づけられるか」を一緒に探していく。

簡単ではありませんでしたが、だからこそ、完成したときの喜びも大きなものでした。

私はデザインが専門でロストワックスによる製作もしますが、今回のようなK18の地金を切ったりロー付など製作に難しい加工のものは全幅の信頼のうちに製作専門の方と話し合いながら進めています。

製作の際のテストで細かところをチェック

近年の金の高騰は凄まじく、K18は1グラムでも最低13000円ほどです。糸鋸で切るだけでもロス分が発生する現状が、壁のように私たちの前に立ち塞がります。

 

様々な試行錯誤を重ねて、シンプルな中にも柔らかな立体感のあるデザインに仕上がり、

カジュアルにもお出かけにも使いやすい指輪に。

長く眠っていたアメジストが、日常のなかで再び輝く存在になりました。

ジュエリーリメイクの難しさは、「素材がある」という制約の中で、

いかにお客様の理想や想いに寄り添うか、というところにあります。

けれどその過程こそが、いちばん創造的で、手応えのある部分でもあります。

今回も、大切な石と向き合う時間をいただけたことに感謝しています。

🖋 制作後記

今回のリメイクは、お客様の中に明確なイメージがあったこともあり、最初のご相談から完成まで、いつも以上に気を配る場面が多かったお仕事でした。

特に、石の形や構造の違いから「できること・できないこと」をどう折り合いながら、理想に近づけていくか──その調整がなかなか難しく、制作を担当してくださった方とも、何度も細かなやり取りを重ねました。

実は途中で「これはなかなか手強いぞ…」という空気が流れた場面もありましたが(笑)、

最後には「いい勉強になりました」と製作側の言葉に私もほっと一息。

お預かりするものには、石そのもの以上に“想い”が詰まっています。

だからこそ、無事に完成して、お客様に喜んでいただけたことが何より嬉しく、忘れられないお仕事のひとつになりました。

🗣 お客様の声 M様より

【どんな場面で使っていますか?】

普段使いでカジュアルに使っています。

【作品の印象についてはいかがですか】

イメージ通りの仕上がりで、とても満足しています。

カジュアルに普段使い出来るし、お出かけにも使えると思います。

【指輪への思いをお聞かせ下さい】

母から亡くなった伯母の指輪を譲り受けましたが、デザインがクラシックでなかなかつけられずにいました。

石がとても綺麗だったので、なんとかリフォームして使えないかと長年の念願がやっと叶い、とても嬉しいです。

大切に使いたいと思っています。

本当にわがままを聞いていただき、とても素敵に仕上げてくださってありがとうございました。

 

⭐︎この度はご用命いただきありがとうございました

 

 

本当

関連記事