こんにちは、ベロニックジュエルズのデザイナー、Keikoです。
日常生活を快適にする、ジュエリーのデザインや宝石のこと、コーディネート、歴史なども発信しています。
今日は、お客様のジュエリーと接する際に思うことを書いてみたいと思います。
そして今回はアイボリーと同様に変色しがちなボーンのネックレスについです。
受け継ぐジュエリー「ビジュー・ド・ファミーユ」
お客様と対面する
最初に、お客様とお会いしてお持ちいただいたお品と対面する時はどきどきします。
お品物の状態とご依頼のイメージとを交錯させながらより良い形へと考えるからです。
お客様の言葉の中のヒントを頼りにイメージを頭に浮かべて、試行錯誤をしながらトライ&エラーを繰り返して、ふっとこうすればいいかな?と降りてきて、
お客様との二人三脚。
そうなると後は一気に仕上げまでgoです。
アイボリーの変色
今回、こちらの彫刻が素敵なネックレスはお母様から譲られたとのことで、
大きなパーツが2センチほどのとてもボリューミーでゴージャス。
でも、全体的に経年による黄色味を帯びていました。
なぜ、変色するのでしょう。
象牙はタンパク質でできているので経年の陽の光で黄色味に変色したり、
使用後の取り扱いによってさらに変色が進むことがあります。
漂白することで取り戻すことはできますが、経験が無いと表面がボロボロになってしまう可能性
もあるのでお客様の漂白ご希望を伺い、当店では専門の業者さんにお願いしています。
ただ、真っ白くなっても元の生成り色へと戻っていくのだそうです。
ところがです。見たところ象牙だと思っていたのですが、実は水牛のボーンということがわかりまして、びっくり。専門店の店主が仰るように年輪のような筋がありませんでした。
ボーンジュエリー
古くは紀元前からのアクセサリーとして存在していた水牛のボーン。
透かし彫りの伝統が現在も繋がっていることに素晴らしいなと思いながら、
綺麗になったパーツに取り組みます。
上記画像のようにとてもきれいになりました。
このネックレスを解いて、①〜③をお作りしました。
① 彫刻のパーツとカラフルな天然石の
ロングネックレス
② 5つの大きめ彫刻パーツとチェーンの
ショートネックレス
③ 小さいパーツのロングネックレス
ご意向を伺い、三本のネックレスにお仕立てすることとなりました。
今回は①のご紹介です。
彫刻パーツとカラフルな天然石のロングネックレス
経緯
さて、困ったことにボーンのパーツはとてもきれいですが、穴に問題が生じました。
穴が意外にも大きく2.5ミリぐらいあります。
ワイヤーが0.4ミリ、2,5ミリの穴に通すには中で
ワイヤーが中でゆらゆらしてしまいます。
いろいろ考えて、穴に合わせた小さなビーズを穴塞ぎにしてワイヤーを通すことにしました。
当店は数多くの天然石があるのでその場で対応できますが、他に方法がないかと色々考えます。
意外にもいい感じ
おお、でもなんだか可愛いではないですか。
白いボーンのパーツに淡い色の天然石のビーズ、
ふわふわな意外なかわいらしさにときめきました。
お客様からもOKが出て、製作もテンションが上がって行きます。
全てのボーンビーズに小さな天然石ビーズをはめていく
のは作っていても楽しかったです。
お客様は写真のようにゴージャス&エレガントなお方ですが、
ユーモアや独自性を重んじるようなお方にも感じられて、
このようなアソビごころのあるネックレスを
お気に召していただけそうな気がいたしました。
色とりどりの天然石をお客様の青色のお洋服に合わせたいとおっしゃいます。
何か、イメージをお持ちなのかしらと、
そこをよくお聞きして
そのイメージを具体的に形にして行きます。
爽やか系の色合いのビーズを選んでいただきましたが、
その後のフィッテイングでもう一度選び直し。
とうとう出来上がりました。
可愛らしく軽やかに仕上がったと思っています。
とても喜んでいただいたご様子です。
まとめ
私はお客様のイメージを形にしてお作りしています。
それはお客様との二人三脚によって
出来上がる奇跡の一本だと思っています。
カラフルな瑪瑙系の天然石にワクワクします。
彫刻の白いパーツとカラフルな石が
スィートのようなかわいらしさ。
金具はU字型で、ネックレスのどこにも引っかかるようにします。
ぐるぐると首に回してみたり、下に垂らしてみたりと何通りにも楽しめるようにしています
最後に
他に2本のネックレスを作って1本のボーンから3本のネックレスに生まれ変わりました。
後の2本は別の記事でご紹介したいと思っています。
「こんなイメージです」と送られてきた画像は、いっとき夢中になって観ていた私も大好きな映画監督「ジェームズ・アイヴォリー」の作品の一コマ、イギリスの20世紀の初めのストーリー、「眺めのいい部屋」でした。
その一枚の画像は、お客様と繋がりを感じられ心強いものとなりました。thank you!
貴重な素材のお母様のネックレスを受け継いだお嬢様が、ご自分のファッションに合わせて新たな形でまたお使いになる、その循環は家族の絆でもあって、また地球にも優しいことだと思います。
その一助になれることはとても幸いと思っています。
象牙やボーンの取り扱いやお手入れについて
① 使用後はぬるま湯でブラシに石鹸をつけてさささと洗い石鹸分がないようにし、 乾いた布で拭き取り、
陽に当たらないように陰干ししてください
② 乾いたら、なるべく暗所に置いて管理をしてください
③ どうしても年月とともに黄ばんできますが、上記のことをすることによって少しは黄ばみを遅らせる
ことができると思います。
④ 現在、アフリカ象の密猟と主の存続の問題から、象牙の売買はWWFなどから国内での売買の取引停止を強く求められています。ただ、現状日本では印鑑の歴史もあることから取引禁止まではなっていませんが、こうした状況に世界的には大きな問題を孕んでいます。海外渡航の際には象牙製品の着用は避けた方が良いように思います。
ジュエリーに関して、何かお困りのことがおありでしたらご相談ください。
ご相談だけでも何かの参考になれたら、と思っています。ネックレスが切れたり、古いビーズのネックレスがあって何かにしたい、片方のピアス、イヤリングなどいろいろなご相談を承っております。
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